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花と蝶々

深刻化する介護者への負担

高齢者人口は年々増え続けており、今後も人口割合は1/2に迫る勢いで増え続けていくことが予想されています。

人口の多くを高齢者が占めてしまうことはもちろん重大な問題ですが、同時にそれを介護する若い世代も増加していくということが大きな社会問題になっています。

2006年2月1日に京都府伏見区の遊歩道で無職の男性が認知症の母親を殺害した事件は社会に大きなインパクトを与えましたが、他にも老々介護など介護を行う人に課せられる重大なプレッシャーにより深刻な事態は次々に生み出されています。

少子化の現代においては両親の世話を一人っ子が全て背負わなくてはいけないという問題も生じており、介護の必要により仕事を辞めざるをえなくなる「介護離職」という問題もあります。

こうした問題の裏側にあるのは両親の介護をするため家庭に入ることにより、社会的に孤立した状況を作ってしまうということです。

介護を主に担当する同居家族はほぼ24時間体制で要介護者に付きそうことになってしまい、悩みや愚痴を言うことができなくなることで精神的に追い詰められることにもなってしまいます。

日本においては「親の世話は子供が見るもの」という価値観があるため、自分のキャリアや結婚生活を優先させたいと思っていても介護が必要な両親や義父母が生じた場合には全てを投げ捨てろという周囲からのプレッシャーを受けることとなります。

そうした世間的なプレッシャーもあって介護を担当する人はますます介護期間中に自身の孤立感を強めることになり、それが冒頭に紹介したような悲惨な結果を生み出す原因にもなってきます。

「レスパイトケア」という認識を広める

そうした介護者の心理的負担を減らすために社会全体で心がけたいのが「レスパイトケア」という意識です。
「レスパイトケア」とは簡単に言うと介護者の負担を軽減するための休息のことで、介護者に「休んで良い」ということを意識させることで精神疾患を防ぐことを目指しています。

2005年の厚生労働省の調査によると、介護を専任している人の約4人に1人はうつ状態にあるとされており、これが介護を受ける人と担当する人の共倒れの原因になっています。

「レスパイトケア」では、24時間付きっきりの介護からデイサービスや通所介護を利用して適度に自分の時間を作るようにしたり、介護の作業を楽にできる福祉用具や介護用品の使用が推奨されています。

一定期間が過ぎれば状況が変わることが予想できる子育てと違い、高齢者の介護は今後何十年続くかわからない暗く長い作業です。

だからこそ社会全体で「レスパイトケア」をきちんと理解し、介護者と要介護者が社会的に孤立しないようにしてく工夫が求められています。